お彼岸供養について 仏事
「彼岸」の由来はインドの古語
インドの古いことば「パーラミター(波羅密多)」の漢訳で「到彼岸」の略であるといわれています。つまり、生死流転のこの世界(此岸)から、涅槃の世界、理想の彼方(彼岸)にいたる、ということを意味しています。
此岸から彼岸への道を無事にたどり着くために、日ごろの自分を反省し、ご先祖様に感謝し、何か良いことをしようという気持ちをもつ日、それが彼岸会です。
この教えの中では、彼岸に到達するため以下の六つの「六波羅密」の実践をすすめています。
一.「布施」感謝の心で、自分の持っているものを他人に施す。
二.「自我」戒めを守る。
三.「忍辱」不平不満を言わず、正しい心を持ち続ける。
四.「精進」精進努力をする。
五.「禅定」常に心の平静を保つ。
六.「知慧」ありのままの真実の姿を見つめ、知恵を働かせる。
お彼岸にはお仏壇やお墓を美しく整え、花や水、故人の好物をお供えし、線香や灯明をあげて供養する、これらは実はこの六波羅密を実践することなのです。
実際は毎日実践できるとよいのですが忙しい現代人たちにはそれが難しいので、せめて気候のよい春秋のお彼岸には実践しましょうというのが、「お彼岸」の始まりのようです。
なお、「お彼岸」という行事は、仏教の発祥地であるインドにも中国にもない、日本独自の仏教修行の習慣なのです。
お彼岸は春と秋に行います
「暑さ寒さも彼岸まで」といって、一年の中でもっともよい季節にお彼岸があります。
お彼岸は春と秋の二回あり、春の彼岸は三月二十日(春分の日)、秋は九月二十三日(秋分の日)を中心に、それぞれ前後三日の七日間行われます。また、春分の日、秋分の日を彼岸の中日と呼びます。
「中日」とは迷いと悟りの接する日です
「春分の日」と「秋分の日」には、太陽は真東から真西に沈みます。そして昼と夜の長さが同じになります。
迷いと悟り、この世とあの世、現実の世界と理想の世界の接する日でもあります。
そこでこの中日には浄土に生まれた先祖を偲び、今日ある自分を育ててくれたご先祖に感謝し、自らも彼岸に到達できるように精進することがすすめられている日です。また、それこそが故人への最大の供養といえましょう。
お墓参りはお彼岸中に
お墓参りは、できるだけ家族そろってお参りしましょう。
墓石をきれいに洗い、花や線香を手向け、ご先祖への感謝と家庭の幸せを念じましょう。
彼岸会に出席してみましょう
寺院では、お彼岸の間、「彼岸会」を開いておられ、読経や法話が行われています。
ぜひとも彼岸会に参加して、故人の供養をお願いしましょう。